1987年実施の退所者追跡調査結果報告書を発見しました。
年末に本棚を整理していたら、「児童の措置解除後の追跡調査報告書」が出てきました。昭和62年3月とありますから、1987年度に実施した調査の報告書です。34年前のはるかな記憶では、施設と児童相談所の皆さんの協力を得ながらも、取りまとめや整理を一人でしたと思います。何よりパソコンではなく、自前のワープロが一台あっただけですから、苦手な算数の計算に苦労したのだろうと思います。
調査対象は、鳥取県中央児童相談所が昭和55年4月から60年3月までに措置解除(児童養護施設・教護院・児童福祉司指導)した児童(106人)で聞き取りアンケートに応じてくださったご本人や家族の方々は、86人です。対象となった相談区分は「教護・触法」、「長欠・性向」と今では聞き慣れない言葉ですが、当時の相談区分です。内容が気になる方は、調べてください。
調査は、昭和55年4月1日から昭和60年3月31日の5年間に①鳥取県中央児童相談所で教護・触法・長欠・性向の相談区分で措置解除(養護施設・教護院・児童福祉司指導)したケース。②鳥取県内の養護施設を退所したケースを対象にしています。
現在の児童養護施設退所児童の調査を別にまとめています。最近になって退所者支援が注目されているのですが、課題は変わらないようです。鳥取県内の児童養護施設は1978年から高校全入運動をスタートさせ、10年を迎えた1987年の調査なので高校の進学率は比較的高いように思いますが、それでも中学校卒業を機に退所した児童の高校中退率や就職後の転職率は異常に高くなっているように思います。
調査対象の幅も狭く、調査自体が「聞き取りアンケート」とはいえ、施設職員へのインタビュー等曖昧な情報を基礎としています。さらには稚拙な分析は、恥ずかしくなるような論評をしていることを30数年後に自覚しました。
調査結果で当時の児童養護施設職員は出身者全体の8割程度の動向を把握していらっしゃったようです。現在も出身者の動向を把握していらっしゃると思いますが、当時よりも職員数も増えていますから、当時以上に努力されていることと思います。近年になって児童養護施設出身者の支援が話題になっていますが、当時から入所児童だけでなく出身者の支援に施設職員が大きな役割を果たしていたことは、児童養護施設の皆さんの努力とエネルギーに敬服します。
読み返そうとは思いましたが調査そのものや表現等が稚拙で読み進むと共に恥ずかしくなってしまい全文を精査しておりません。時代の背景もありますが高校進学率が鳥取県内養護施設では62.16%(1984年度)、全国が35.37%と鳥取県からスタートした高校全入運動の途中経過も読み取れました。
調査結果の「まとめ」は、「ちゃんと仕事せなあかんなぁ」という意味のことを書いています。詳細は本文を読んでください。皆さんのご意見や感想、調査結果データから読み取れる新しい発見をお知らせいただければありがたいです。
2021年1月12日
報告書は次のリンクで閲覧・ダウンロードできます。
すでに発表済の資料なので内容の転用・転載は自由です。出来ればご一報ください。